「二十歳の原点」（高野悦子著）という本を、二十歳のときに読んでから、大切にしています。
大学の先輩にあたる彼女が、1960年代、二十歳のときに書いた日記。
「私の生活が混沌としたものである以上、整理する必要はない。
それどころか、私には混沌さが、まだ足りないのではないか」という言葉に、共感を覚えました。

私が初めてインドを訪れたのも二十歳のとき。
その経験は私の原点となり、インドへはその後、何度も訪れることになります。

美しさと醜さ、善と悪、聖と俗、生と死。
何事も表裏一体であるということを実証するかのように、
すべてが一度に視界に押し寄せてくる衝撃は、「混沌」そのもの。
衝撃は回を重ねて訪れる度に、安心感へと変わってきました。
混沌とした世界の中で、浮かび上がってくるもの。
人の暮らしとその気配。わからないものへの畏れ。いつかどこかで感じたような郷愁。
そんな百の情景を、展示いたします。

皆さまのご来場をお待ちしております。

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